原種シクラメン

 シクラメンの原種は、地中海沿岸、ギリシャからチュニジアにかけて自生しており、その名の由来はギリシャ語のキクロスの受粉後に花茎がらせん状に変化する性質からきている。シクラメンは土から芽を出すときは一枚で、子葉から7,8枚目の葉が出た頃から花芽の形成を始める。ハート型をした柄の長い葉には白斑があり、葉の中央に細い茎を伸ばし、その頂点に花をつける。葉芽と花芽は一対で発生し、白や赤、黄、桃色など、多様性に富んだ色の花を秋から春にかけて咲かせる。

 シクラメンには園芸種と原種がある。園芸種は、多くの人が庭で育てている園芸用のシクラメンで、野生種を品種改良したものである。公園に咲いているシクラメンは野生の原種シクラメンで、園芸種のものよりは花が小ぶりで、濃いピンクや薄いピンク色の可愛い花を咲かせるのが特徴である。原種シクラメンのらせん状の花茎は、長い年月にわたって、種が鳥類に食べられないようにするしくみであり、過酷な環境を生き抜くために勝ち取った素晴らしい性質であると言える。

 シクラメンに関する伝説に、ソロモン王の王冠のデザインにまつわる話がある。草花が好きだったソロモン王が、王冠に何かの花のデザインを取り入れようと、様々な花と交渉したが断られ、唯一承諾してくれたのがシクラメンであった。その時、王がシクラメンに感謝の気持ちを告げると、それまで上を向いていたシクラメンが恥ずかしさとうれしさのあまりにうつむいてしまった。その後、シクラメンがやや下向きに花をつけることが多くなったと言われている。シクラメンの花言葉は「内気なはにかみ」である。

ツツジとさつきの季節

 4月、5月になると、公園を彩る花は、花畑、草花、樹木と、あちらこちらで色とりどり、華やかに競演を始める。ツツジ、さつきもその一役をかって、4月に演じ始める。この頃になって、話題になるのが「ツツジ」と「さつき」の違いである。

 一般的な差異は、開花する月は、ツツジが4月、さつきは5月、花も葉も木も、大きいのはツツジ、小さいのはさつきと言うことである。しかし、最近のように、4月に5月の気温になったり、3月の気温になったりする気温変動の激しい条件が生じると、花もどのように対応してくるのか疑問になる。園内には、キリシマツツジが小ぶりの花を開花させている。花径は2~3cm、色は紅色か白である。葉は広い楕円形で、長さは2cm程度、葉の縁には毛がある。九州に自生するヤマツツジとミヤマキリシマの交配種と言われている。その他には、紅紫色の花を咲かせるミツバツツジが咲いている。ミツバツツジは花が終わってから葉が出てくる。さつきはツツジよりも1ヶ月遅れて、5~6月に開花する。草丈は0.5~1.5m、花の色は、白、赤、ピンク、紫などがある。ツツジの花言葉は「節度」、さつきの花言葉は「節制」で、さつきは環境の厳しい山奥や岩場に自生していたために、自制心のある大人の意味が込められた花言葉になっている。

ウラシマソウは絶滅危惧種

 ウラシマソウは、2015年4月にこもれびの丘の雑木林で見つけて以来、公園では見ることができなくなっている。以前から、ウラシマソウは絶滅危惧種に指定されている山野草である。ウラシマソウは葉の下に、肉穂花序と呼ばれる穂のような花をつけるが、その先端の姿が浦島太郎が持っていた釣り竿の糸と似ていることから、このように呼ばれるようになったと言われている。花は、仏炎苞と呼ばれる黒褐色か、赤褐色、緑白色の苞に包まれている。
 草丈は、30~80cm程度で、開花期は4月から5月で、地下に里芋に似た大きな球根があり、春になると芽を伸ばす。ウラシマソウは性転換する植物として知られており、力のない株は雄花、力のある株は雌花になると言われている。生育の状態によって、毎年、雄花をつけるか、雌花をつけるか変わってくる。
 秋頃には、トウモロコシを縮小したような真っ赤な実をつける。美しい姿を見せるが、ウラシマソウの実にはサポニンという毒が含まれており、食べると激しい嘔吐や激痛に襲われる。
 ウラシマソウの花言葉は、不在の友を想う、懐古、回想などといわれている。ウラシマソウの種類は、南国に自生するナンゴクウラシマソウ、小型のウラシマソウであるヒメウラシマソウ、茎のまだら模様がマムシに似ていることからつけたマムシグサ、肉穂花序の先端が雪のように白く、餅のように丸いことから名付けられたユキモチソウ、大型種でありボクシングのグローブのような形をしたムサシアブミなど、数種類のものがある。

 最近、絶滅危惧種、準絶滅危惧種が増加しつつある傾向が気になる。